カード

利用者が自由にレイアウトしたカードを使って，表ファイルのデータを画面に表示したり，プリンタに印刷したりできます。また，カードには機能を割り当てたボタンを置くことができるので，DBPro を使って開発したアプリケーションのユーザインタフェースとして使うことができます。

目次

カードの対象表

オブジェクト

オブジェクトの種類

オブジェクト属性

オブジェクトラベル

表示／編集用コントロール

シートと用紙分割

表オブジェクトがあるカード

カードファイル

カードの対象表

カードは，表のように自身でデータをもっているわけではなく，編集・印刷の対象となるデータはあくまでも表ファイルのデータであって，その見え方の形を変えているだけです。カードで編集・印刷しようとする表をそのカードの対象表といいます。カードを作成するときは対象表を指定します。カードの新規作成，カード対象表指定ダイアログ

表−カードの対応と対象表固定

• 一般には，ある対象表に対して専用のカードを作成します。この場合は，カード対象表ダイアログで[対象表固定]を指定します。こうすると，カードファイルを指定するだけでただちに対象表に対するカード編集ウィンドウが開きます。[ファイル]-[開く]
• 同じ，あるいは似た構造をもつ表に対してはカードを一つだけ作っておいて，カードを開くときに対象表を指定することもできます。カード対象表ダイアログで[対象表固定]をオフにします。カードを開くたびに対象表を選ぶ必要があります。
• 一つの表に対していくつもの異なるカードを作成して，同じ表を違った形で表示したり印刷したりできます。[ウィンドウ]-[カードウィンドウを開く]，カード編集：[ファイル]-[印刷]
  

対象表のないカード

• 対象表をもたないカードを作ることもできます。
  このようなカードはボタンや図形，文字列だけを配置して，その後の処理を振り分けるためのメニューとして用います。あるいは，DBProで作成したアプリケーションシステムの中から利用者に対するメッセージを表示するために用います。

オブジェクト

カードには，その対象表がもっている項目の表示／編集用領域，説明用の文字列や図形，機能を割り当てるためのボタンなど，さまざまな部品をレイアウトします。これらの部品をオブジェクトと呼びます。

オブジェクトの種類

• オブジェクトには用途に応じていろいろな種類があり，それらの組合わせによって画面表示／編集用カード，メニュー用カード，印刷帳票用カードなど，さまざまな目的をもったカードを作ることができます。
• オブジェクトには次の種類があります。
  
  

  	オブジェクト種別	概要	設定用コマンドと詳細
  	項目	対象表レコードの項目値を表示／編集します	[道具]-[項目]
  	式	式の計算値やカードの集計値を表示します	[道具]-[式]
  	テキストファイル項目	項目値で指定されるテキストファイルの内容を表示します	[道具]-[テキストファイル項目]
  	図形ファイル項目	項目値で指定される図形ファイルの内容を表示します	[道具]-[図形ファイル項目]
  	表	複数のレコードを表の形で表示／編集します	[道具]-[表]
  	データ	レコードには対応しないカード編集中だけの一時的なデータを表示／編集します	[道具]-[データ]
  	変数	対象表のファイル内変数を表示／編集します	[道具]-[変数]
  	文字列	いつも同じ文字列を表示します	[道具]-[文字列]
  	図形	いつも同じ図形を表示します	[道具]-[図形]
  	文字列ボタン	ボタンフェースが文字列である機能ボタンを置きます	[道具]-[文字列ボタン]
  	図形ボタン	ボタンフェースが図形である機能ボタンを置きます	[道具]-[図形ボタン]
  	直線	直線または矢印を描きます	[道具]-[直線]
  	矩形	矩形の枠または塗りつぶしの矩形を描きます	[道具]-[矩形]
  	楕円	楕円の枠または塗りつぶしの楕円を描きます	[道具]-[楕円]
  	OLE枠	OLEサーバーアプリケーションのデータを表示します	[道具]-[OLE枠]

オブジェクト属性

• それぞれのオブジェクトには，オブジェクト名，対象とするデータの指定，表示の位置／サイズ／色／形／フォントなど，そのオブジェクトの性質を決めるためのオブジェクト属性を指定します。オブジェクト属性には以下の表に示すものがあり，オブジェクト種別によって指定できる属性が異なります。それぞれのオブジェクト属性の詳細については，オブジェクト属性ダイアログで説明します。
  
  次の表で項目種別名やオブジェクト属性名をクリックすると，それぞれの詳細な説明をしている場所にジャンプします。一つのオブジェクト属性であってもオブジェクト種別によって説明の場所が異なる場合は，各丸印をクリックすれば対応する場所にジャンプします。
  

  ダ イ ア ロ グ の ペ ｜ ジ	オブジェクト種別	項 目	式	テ キ ス ト フ ァ イ ル 項 目	図 形 フ ァ イ ル 項 目	表	デ ｜ タ	変 数	文 字 列	図 形	文 字 列 ボ タ ン	図 形 ボ タ ン	直 線	矩 形	楕 円	Ｏ Ｌ Ｅ 枠
  	オブジェクト属性
  共 通	表示順序	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○
  	カーソル移動順序	○	○	○	○	○	○	○			○	○
  基 本 ペ ｜ ジ	オブジェクト名	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○
  	対象項目	○		○	○
  	対象変数							○
  	表示／編集用コントロール	○					○	○
  	式		○
  	データ型		○
  	集計		○
  	訂正中でも再計算		○
  	ナル値の扱い		○
  	起動プロセス		○
  	表の要素					○
  	レイアウト方法					○
  	表示文字列								○		○
  	図形ファイル									○		○
  	機能										○	○
  	対応キー										○	○
  	線種												○
  	色												○
  	矢印												○
  	OLEパラメータ															○
  	注釈	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○
  サ イ ズ ペ ｜ ジ	位置：X,Y	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○		○	○	○
  	サイズ：幅,高さ	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○		○	○	○
  	角の丸め：X,Y	○	○	○	○		○	○	○	○				○
  	表内オブジェクト高さ拡張	○	○	○	○
  	始点：X,Y												○
  	終点：X,Y												○
  	見出し部高さ					○
  	明細単位数					○
  	明細単位高さ					○
  	明細単位高さ自動拡張					○
  文 字 ペ ｜ ジ	フォント	○	○	○			○	○	○		○
  	字送り	○	○	○			○	○	○		○
  	行送り	○	○	○			○	○	○		○
  	スタイル	○	○	○			○	○	○		○
  色 と 書 式 ペ ｜ ジ	文字色	○	○	○			○	○	○		○
  	背景色	○	○	○	○		○	○	○	○	○	○		○	○
  	網かけ	○	○	○	○		○	○	○	○	○	○		○	○
  	網色	○	○	○	○		○	○	○	○	○	○		○	○
  	書式	○	○				○	○
  配 置 ペ ｜ ジ	水平配置	○	○	○	○		○	○	○	○	○	○
  	行末揃え	○	○	○			○	○	○		○
  	あふれ文字右寄せ	○	○	○			○	○	○		○
  	垂直配置	○	○	○	○		○	○	○	○	○	○
  	あふれ文字下寄せ	○	○	○			○	○	○		○
  	縦書き	○	○	○			○	○	○		○
  	折返し	○	○	○			○	○	○		○
  	禁則処理	○	○	○			○	○	○		○
  	あふれ改行文字	○	○	○			○	○	○		○
  	図形変形法（画面）				○					○		○
  	図形変形法（印刷）				○					○		○
  枠 線 ペ ｜ ジ	枠線：線種,色	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○		○	○	○
  	ラベル区切り：線種,色	○	○	○	○	○	○	○		○	○	○
  	見出し区切り：線種,色					○
  	見出し枠：線種,色					○
  	明細区切り：線種,色					○
  	縦線：線種,色					○
  	影：幅,色	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○		○	○	○
  他 ペ ｜ ジ	ラベル	○	○	○	○	○	○	○		○	○	○
  	表示有無	○	○	○	○		○	○	○	○	○	○	○	○	○	○
  	印刷有無	○	○	○	○		○	○	○	○	○	○	○	○	○	○
  	値のみ印刷	○	○	○	○	○	○	○	○	○						○
  	カーソル停止	○	○	○	○		○	○			○	○				○
  	編集可	○	○	○	○	○	○	○								○
  	説明	○	○	○	○	○	○	○			○	○				○
  	ヒント	○	○	○	○	○	○	○			○	○				○
  	縦スクロール方法					○
  	表外カーソル移動可					○
  ロック	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○	○

オブジェクトラベル

• すべてのオブジェクト（表オブジェクト内オブジェクトを除く）には，タイトルや説明文としてオブジェクトラベルを付けることができます。オブジェクトラベルは，実際には元のオブジェクトに関連付けられた文字列オブジェクトであって，文字列オブジェクトがもつすべての属性を指定することができます。以下の例では，項目[氏名]を表示する項目オブジェクトのオブジェクトラベルとして「名前」が指定されています。
  
• オブジェクトにラベルを付けるには，オブジェクト属性の[ラベル]にラベルにしたい文字列を入力します。項目オブジェクト，テキストファイル項目オブジェクトおよび図形ファイル項目オブジェクトの場合は，最初に作成するときにオブジェクトラベル付きで作成することができます。[道具]-[項目]，[テキストファイル項目]，[図形ファイル項目]
• ラベルは，元のオブジェクトの上下左右のいずれかに密着させるか，元のオブジェクトに対する自由な相対位置に置くことができます。元のオブジェクトを移動すると，ラベルも相対位置を保ったまま移動されます。自由な相対位置に置かれたラベルは，ラベルを移動させると元のオブジェクトに対する相対的な位置が移動します。
• 元のオブジェクトを削除すると，ラベルも同時に削除されます。ラベルになっている文字列オブジェクトを削除しても元のオブジェクトは削除されません。

表示／編集用コントロール

項目オブジェクト，データオブジェクトおよび変数オブジェクトの場合，値を表示／編集する形を以下の中から選べます。これらを表示／編集用コントロールと呼びます。項目やデータの性質によって最も適切なコントロールを指定してください。ただし，指定できるコントロールの種類は，項目の選択肢の有無などによって制限を受けます。また，テキストボックス以外の表示／編集用コントロールを指定した場合は，色，字送り／行送り，文字スタイルなど，さまざまなオブジェクト属性が無効になります。
表示／編集用コントロールは，オブジェクト属性ダイアログの基本ページで指定します。

テキストボックス

文字列を自由に表示／編集するための矩形の領域です。選択肢の有無に関わらず，すべての項目に対して指定できます。
表オブジェクト内オブジェクトの場合は，このテキストボックスコントロールだけが指定でき，他のコントロールは指定できません。
項目に選択肢が設定されていると，文字列編集モードでこのオブジェクトにカーソルが移動したときに，項目属性で指定した選択入力のためのウィンドウ（ドロップダウンまたはポップアップ）が開きます。

ドロップダウンリストボックス

項目に設定されている選択肢の中から一つを選ぶためのコントロールです。選択肢が指定されている項目に対してだけ指定できます。
その項目が選択入力後に編集可能な項目であれば，コントロールも編集可能なエディットボックス付きドロップダウンリストボックスになります。
項目属性で指定されている選択入力のための属性は，選択肢データだけが有効で，ウィンドウの種類などは無効になります。

リストボックス

項目に設定されている選択肢の中から一つを選ぶためのコントロールです。現在の値が反転表示されます（選択後に編集可能な項目の場合，選択肢以外の値が入力されている可能性がありますが，その場合はいずれの要素も反転表示されません）。

オプションボタン

項目に設定されている選択肢の中から一つを選ぶためのコントロールです。現在の値に印が付きます（選択肢にない値が入力されていたときはどのボタンにも印が付きません）。
一つのオプションボタンの高さは，オブジェクト全体の高さを選択肢の個数で等分した高さになります。したがって，たくさんの選択肢がある項目に対して不十分な高さのオプションボタン項目オブジェクトを定義すると，各選択肢が重なってしまってマウスでクリックできなくなります。

チェックボックス

オン／オフの２値をとる項目に対して，チェックマークで表示／編集します。
数値，整数，実数型の項目に対して指定した場合は，ゼロまたはナルがチェックオフ，非ゼロがチェックオンとして表示されます。入力される値は，チェックオンが１，チェックオフがゼロです。
文字列型の項目に対して指定した場合は，空文字列がチェックオフ，空でない任意の文字列がチェックオンとして表示されます。入力される値は，チェックで表示文字列そのもの，チェックオフで空文字列になります。

増減ボタン付きボックス

数値，整数，実数型の項目に対して，値の増減をボタンで行なえるようにします。数値，整数，実数型の項目に対してだけ指定できます。
すでに入力されている項目値が[刻み]の整数倍でないときは，最初の１回の増減ボタンクリックで刻み値の整数倍の値に丸められます。

シートと用紙分割

カードは，表示内容から見た分割単位である「シート」と，物理的な分割単位である「用紙」とで分割されます。

シート

• 履歴書と身上書のように，一つのレコードに関する情報が１ページに収まらない場合，二つ以上のシートに分割して表示・印刷することができます。概要シートと複数の詳細シートに分割して利用することなども考えられます。
• 画面上では，いずれか一つのシートだけが表示され，切り替えることによって他のシートが表示されます。印刷時は，１シートが１枚の用紙に印刷されます。
• それぞれのシートには異なるレイアウトを指定できますが，表示・印刷されるレコードはすべてのシートに対して同じレコードです。
• シートの追加・削除は，カードレイアウトウィンドウの[シート]-[シート追加]／[シート削除]で行ないます。カード編集ウィンドウでのシート切替えは，[探す]-[次シート]／[前シート]で行ないます。

用紙分割

• 宛名ラベルのように，小さなカードをたくさん印刷するときは用紙分割を指定します。分割された用紙はそれぞれが１ページの用紙として扱われ，それぞれにシートが印刷されます。
• 用紙分割が指定されているカードであっても画面に表示されるのは分割された用紙１ページ分のシートだけです。
• 用紙分割は，カード属性ダイアログの用紙・サイズページで指定します。

余白

• カードの用紙には余白を指定できます。余白の指定を省略して，用紙の中央に印刷することもできます。
• 分割された用紙の場合であっても，余白は分割する前の用紙全体に対して指定します。余白を除いた部分が分割数で分割されます。したがって，分割された用紙は余白をもちません。
• 余白もカード属性ダイアログの用紙・サイズページで指定します。

ヘッダー・フッター

• 用紙にヘッダーとフッターを印刷することができます。
• 分割された用紙の場合であっても，ヘッダー・フッターは分割する前の用紙全体に対して一組だけ指定できます。
• ヘッダー・フッターはカード属性ダイアログのヘッダーページで指定します。

表オブジェクトがあるカード

請求書や出金伝票のように，明細行をもつカードを作るには，カードに表オブジェクトを置きます。表オブジェクトを置くと，１枚のカードで複数のレコードを表示・編集・印刷することができます。

表オブジェクトは，一つのオブジェクトだけで見出し部と明細部をもち，さらにそれらの要素として内部にオブジェクトをもつ，大変複雑なオブジェクトです。

詳細は，[道具]-[表]を参照してください。

カードファイル

カードファイルには，編集・印刷対象の表ファイルの名前，カードのサイズ／レイアウト／用紙の属性など，カードを使って表ファイルを編集，印刷するときの形を定義する情報が保存されています。データベースのレコードデータそのものはもちません。カード編集やカード印刷の対象となるデータは表やビューです。

カードファイル名と拡張子

• カードファイルの名前は，Windowsで使うことができるファイル名をそのまま使えます。拡張子は .dpc です。
• カードファイルに関連して次のファイルが用いられます。これらは，拡張子だけが変えられています。

  *.dpc	カードファイル本体です。
  *.~pc	カードファイルのバックアップファイルです。カードレイアウトを変更した場合，１回前の保存状態をもっています。